お客さんにわかりやすく論理的に話す方法

接客初心者の方でこういった経験はないでしょうか?
「お客さんになかなか自分の話が伝わらない……」
「なんども同じ話を聞き返されて、本当に話を聞いてくれてたのか疑問に思う」
「どれだけ噛み砕いて説明しても、なかなか理解されない……」

接客とは「お客さんの望みを先回りして実現させたり方法を教えてあげる」という役割もあります。
それなのに、その提案が伝わらないのはつらいですよね 。

ただちょっと待ってください。
「わからない」のをお客さんのせいにする前に、もう一度自分の説明がどうだったか振り返ってみましょう。

実は話が伝わらないのには原因があります。
そのためにあなたはこの事実を知っておかないといけません。
お客さんは、「あなたの話を理解する為の前提知識がない」ということを。

この記事ではあなたの話を伝わりやすいものにするために、詳しく解説していきます。

原因は、お客さんに前提知識がない状態で話すから

先ほど「あなたの話を理解する為の前提知識がない」といいました。
それだけで原因がすっとわかる人もいると思いますが、どのような状態か腹落ちしてもらうためにいくつか例をあげてみましょう。

漫画やドラマは途中からみたらわからない例

あなたが友達に「ワンピースの最新刊が面白かったからあなたも読んでみて!」と言われたとします。
しかしあなたはワンピースを読んだことがありません。
「海賊王におれはなる!」というセリフは10年前から知っているのですが、その後なれたのかどうか見てないから全然わかりません。

それなのに友人は「最新刊が面白かったから読んで!」と要求してきます。
「こち亀」のような毎回毎回話が違って楽しめる漫画ならまだしも、全然話がわからないワンピースの最新刊をよんで自分が楽しめるわけがない。
あなたはそう思うでしょう。

当然ですね。

本題に戻すと、「お客さんに話が伝わらない」のはこれと同じ状態なのです。
お客さんはただ「わからない」というだけでしょうが、実はそれは、「ストーリーの途中から説明されても全然ついていけないよ」という意味なのです。

クラスの授業のスピードについていけない子の例

もう一つ例をあげましょう。
どこの学校にも授業についていけない子がいます。
Aくんとしましょう。

毎回毎回先生はAくんに「Aくんついてきてる?」と聞きますが、帰ってくるのは曖昧な返事だけ。
先生もAくんにわかるように意識して噛み砕いて説明するのですが、テストではやっぱり教えた点ができてない。

Aくん自身はわかったようなわかってないような態度しかとらないのでもう手の打ちようがありません。
どうやったらAくんに授業の内容をわかってもらえるでしょうか?

この場合、Aくんがわからなかった原因は、一番初めの授業まで遡ります。
実はAくんは一番初めの授業でわからないところが生じ、それを解消することなくそのまま授業を受け続けてしまったのです。

だからあとの授業を理解するための知識がないため、どんなに新しい知識をいれてもそれを理解することができません。
Aくん自身も「今更初めの授業のわからないところを聞くなんてなんか恥ずかしいし迷惑かも……」と思って言葉にできませんでした。

お客さんもこれと同じで、「あなたの話が序盤でわからなくなってしまったけど、今更初めから説明してもらうのも恥ずかしいし申し訳ない」という気持ちになっているのです。
これはこちらから気持ちをさっして理解度を確認してあげないといけないですね。
聞き手の方からは言いにくいでしょうから。

ちなみに私はAくんの気持ちが結構わかります(笑)

自己満足な就職活動の例

あなたが書いた渾身のエントリーシートが企業の採用担当に届きました。
採用担当者はあなたの自己PRに目を通します。
そこにはこんなことが書いてありました。

「テレビで移民問題が取り上げられていて、移民の方々はなかなかその国で受け入れてもらえなかったらしいのです。移民同士であつまってシェアハウスを作り、貧しく生活しているとのことでした。私は自分がなんとかしなければと思い、新宿駅前で寄付を募りました。同時にSNSで物資の支援も募り、◯◯万円分あつまりました。それを無事移民の方々のシェアハウスにおくり、感謝の手紙をもらいました。この行動力を武器にして、貴社のお役に立ちたいです。」

これをみて採用担当者はこう思いました。
「確かに行動力はすごいけど、この人はどんな動機があってここまで必死にこの問題について取り組んだんだ?これだけだとなんでもいいから就活に役立てるためにインパクトのあるエピソード作ったような感じだな……なんというか学生ながらに胡散臭い感じがする……」

けっこう厳しいですね……
でも無理もありません。
そう思われても仕方がないくらいに言葉足らずですね。

あなたは大切なことを書き忘れました。
「実は子供の頃、旅行中に私は自分の親と喧嘩して飛び出して迷子になったことがありました。見知らぬ土地でしたので一人はすごく不安で、何も飲み食いできずに長時間彷徨い続けた時は子供ながらに死を意識しました。その時の恐怖を私はいまも忘れていません。ところが、子供がさまよっているのをみたその土地の方が、私に「どうした?なにをしてるの?お父さんとお母さんは?」と声をかけてくれたのです。事情を話すと、まず私に水とご飯を食べさせてくれて、交番まで私を届けてくれました。その時の人情のありがたさは、今思い出しても涙がでるほどです。移民のみなさんの苦労をしって、私は自分の過去の経験がフラッシュバックしてきました。だから、この問題には私が携わらないとという使命感を感じたのです。」
という動機があったことを。

ただ「行動力のある」だけの話だと、採用担当者も『胡散臭い』と思います。
しかし、この行動力を発揮したのはこういった経緯があったことがわかれば、採用担当者にもあなたが「人情を大切にしていて、自分もそれに助けられた経験がある人」だということがわかります。

お客さんもそれと同じで、あなたが「このサービスいいですよ!」とただおすすめするだけだと『胡散臭さ』を感じるかもしれません。
しかし、そのサービスが「兼ねてからお客様からこういった要望があったので、それを実現するために新たにこういったものができました!おすすめですよ」と経緯から話すことができたら自然に受け入れられますね。

わかりやすい話は「誰もおいてかない」

以上のように、話が伝わるかどうかは相手の「現在位置・前提知識」に大きく影響を受けます。
「接客でヒアリングが大事だよ」といわれるゆえんはここにあります。

あなたが今までお客さんに「話が伝わらないな〜」と思っていたのは、相手のことをもう少し知る必要があったかもしれませんね。

順序性と論理性

「はなしがわからないこと」を端的にいうと「途中から話されてもわからないよ」ということなのですが、それはつまり論理的でないということなのです。

論理的というものはどういうものでしょうか?
ちょっと難しいですが、論理的帰結という言葉をウィキペディアから引用してみました。

論理的帰結(ろんりてききけつ、伴意、英: logical consequence, entailment)は、論理学における最も基本的な概念であり、複数の文(または命題)の集合と1つの文(命題)の間が「~だから、当然~」という繋がり方をする関係を指す。例えば、「カーミットは緑色だ」という文は、「全てのカエルは緑色だ」と「カーミットはカエルだ」の論理的帰結である。
Wikipediaより

難しいですよね(笑)
もうすこし簡単に書いてもいいのではないかと思ってしまいます(笑)

これをすごく噛み砕いて言うと、「誰が聞いても『そうだよね。それで間違いないよね』って受け入れられる話」が論理的であるということです。

抽象的に言うと、AはBであり、BはCである場合、AがCであるということも成り立つ状態です。
具体的で言うと、カエルは動物で、動物は生命体であるという場合に、カエルは生命体であると成り立ちますね。

言葉ってすごく曖昧ですから、正確に伝えるのってすごく難しいんです。
それなのに誰が聞いても同じ意味として受け入れられる話は、真に論理的であると言えます。

もしあなたが接客をするうえで論理的でなかったらどうなるでしょうか?
もしかしたら「聞いてなかった」「言った言わなかった」でクレームになるかもしれません。

せっかくあなたが話したことも、こうなってしまっては逆にマイナスです。
クレームの処理は契約よりも時間がかかる上に全く生産的ではありません。
「こんなクレームになってしまうくらいなら契約自体なかったほうがよかった」と思うこともあるでしょう。

このように論理的でないとマイナスからのスタートになってしまいます。
いわば論理的であることはスタート地点。
正確に相手に話を伝えることができて、魅力的に話す方法はそれができて初めて活きてきます。

勢いがすごくてたくさん販売ができて、多少のクレームは愛嬌でなんとかなるというキャラの人もいるでしょうが、たいていの人はそうではないでしょう。

だから、論理的である必要があります。

具体例・ドコモの月々サポート

ここからは論理的な説明を組み立てる実例を話します。
例としてNTTドコモのサービスである月々サポートの説明をしてみます。

このサービスは一言で言うと簡単なのですが、ちょっと詳しく見てみると勘違いが生まれやすいものです。

この「月々サポート」という割引サービス、よく以下のような勘違いをされます。
「月々サポートがあるから、スマホは一括で買うより分割で買ったほうが安い」
あなたもそう思っていませんか?ちなみにauの毎月割やソフトバンクの月月割も同じ勘違いをよくされます。

この勘違いは主に以下のような会話の流れでおこります。
以下はあなたと店員さんの会話です。
(あなたはドコモでスマホを購入しようと思い、ショップに来店しました。)

あなた「この機種の価格はいくらですか?」
店員さん「こちらの機種は実質10,800円です。」
あなた「実質というのはどういう意味ですか?」
店員さん「もともとの機種代金は21,600円ですが、総額10,800円の割引が均等に24ヶ月かけて割引されるようになっています。」
あなた「なるほど」
店員さん「21,600円の機種を24回払いなので、月々900円で分割を組みますが、そこから月々450円割引になり、毎月のお客様のご負担はちょうど半額の450円です。これで2年間使うと10,800円で購入できる計算になります。」
あなた「わかりました。この機種は1ヶ月450円で、24ヶ月使ったら10,800円になるのですね。」
店員さん「そうなります」
あなた「ありがとうございます。ちなみに機種を一括で購入する場合は、初めから10,800円支払ったらいいですか?」
店員さん「いえ、一括ですと21,600円です」
あなた「なるほど、一括よりも24回払いのほうが安いのですね?月々サポートは一括では使えないのですね?」
店員さん「いえ、金額は同じです」
あなた「??????、どういうことですか?」
店員さん「月々サポートは一括でも分割でも適用されます」
あなた「分割の場合は900円に対して450円割り引いてくれるんですよね?」
店員さん「はい」
あなた「一括の場合は21,600円を10,800円値引きは出来ないのですよね?」
店員さん「そうです」
あなた「(やっぱり一括だと月々サポートは使えないじゃないか。なんで金額が同じなんだ????全然わからない……)」

以上の話を店員さんからされて、あなたがもし月々サポートの知識を持っていなければこう思うでしょう。
「よくわからないけど分割だと総額10,800円で、一括だと21,600円必要らしい。分割にしておいたほうが安そうだ」と。

事実は店員さんの言う通り「一括も分割もかわらない」んですが、うまく話が伝わらなくてこのように勘違いされてしまうケースが多いです。

ではこのような勘違いを生まないためには、どうすれば良かったでしょう?
それは、お客さんに月々サポートの割引方法を前提知識として教えてあげたらよかったのです。

月々サポートの実際の割引方法はこのようになっています。
「端末の支払い回数に限らず、端末を購入してから24ヶ月間かけて所定の金額を通信料から割引きます。」

そう、月々サポートはいかにも「機種の割引である」という格好をしていますが、実際には「端末代ではなく電話代」から値引くようになってるんです。
電話代から割引するのであれば、機種代金が一括で支払いずみだろうが24回の分割で乗っていようが関係ありません。

もともとの機種代金は機種代金、割引は割引でちゃんと存在するのですから、「一括でも分割でも機種代金はおなじ」と言えます。

この店員さんは月々サポートの割引方法の説明を抜かして「一括でも分割でも機種代金は同じですよ」と結論しか言っていませんから、お客さんにうまくつたわりませんでした 。
こういった説明は論理的でないと言えます。

月々サポートの論理性はどこにあるでしょう。
ちょっと抽象的に考えてみましょう。

先ほどの「A=Bで、B=Cだから、A=Cだ」という流れでいきます。
「機種を購入すると月々サポートが適用になります。月々サポートは通信料から割引になります。よって、機種を買うと通信料の割引が適用になります。」
となります。

この知識があれば、「じゃぁ端末の支払い回数は何回にしようか」という話になった時に、月々サポートの割引がなくなるかどうかの心配はなくなりますね。

まとめ

ここまで相手に物事を正確に伝えるための方法を述べました。
大切なことは「相手はどこまでわかってるか?」を正確に把握することです。
相手の現在位置がわかっていれば、自ずと「次何をわかってもらったらいいか」がわかりますから、あとは簡単です。

あなたの説明が伝わるようになることを願います。

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